〒004-0002 北海道札幌市厚別区厚別東二条6丁目3-1

症例紹介

ワンちゃん、ネコちゃんの一般的な病気から比較的稀な病気まで、実際の当院の症例からご紹介したいと思います。「聞いたことはあるけど、実際にはどんな症状なのかはわからない。」なんてことはありませんか?ご自身のペットの異変を感じたときに、少しでもご参考になれば幸いです。

  • 内科
  • 外科
  • 腫瘍
  • 皮膚
  • 呼吸器
  • 循環器
  • 尿器
  • 神経
  • 整形
  • 眼科

内科

icon甲状腺機能低下症
  • トイ・プードル、雌、3歳齢
  • 【症状】1~2ヵ月前より震えることが多い。元気がなく寝てばかり。背中の脱毛・フケ。肥満。
  • 【説明】全身の代謝を維持するために必要となる甲状腺ホルモンが分泌されなくなる疾患であり、犬でよくみられます。免疫介在性の炎症や特発性の萎縮などにより、不可逆的に甲状腺自体の機能が低下してしまうケースがほとんどです。臨床症状は様々ですが、本症例では活動性の低下、体重の増加、皮膚症状など典型的な症状がみられました。
    この病気を診断するには甲状腺ホルモン濃度の測定が必須ですが、この疾患の症状との一致が重要であり、他の疾患からの影響も考慮する必要があります。
  • 【治療】一旦低下してしまった甲状腺機能が元へ戻ることはないため、治療は生涯にわたり必要となります。甲状腺ホルモン製剤を服用させ、適切にコントロールしてあげれば一般的に予後は良好です。
治療前
背中の脱毛・フケ(矢印)とともに、肥満傾向が認められます。
治療開始約2ヵ月後
治療開始約2ヵ月後。体重が減少して活動性が戻り、背中の脱毛部分には発毛が認められます。

外科

icon鼻咽頭ポリープ
  • マンチカン、雄、3ヵ月齢
  • 【症状】左耳の汚れ(耳漏)。
  • 【説明】猫の耳管や中耳より発生する非腫瘍性の腫瘤であり、ほとんどの場合、若齢で発生するため先天的な病因と考えられています。鼻咽頭側に拡大すれば、喘鳴音や鼻汁などの呼吸器症状を示しますが、鼓膜を通過して外耳道側に拡大すると、耳漏がみられ、頭を振るなど耳を気にするようになります。このような場合、中耳炎が引き起こされていますが、細菌感染を合併していることもあります。
  • 【治療】内科治療には殆ど反応しませんが、ポリ―プを摘出すれば予後は比較的良好です。ただし、術後に再発するケースもあるため、引き続き注意が必要です。本症例では5ヵ月齢まで成長を待ち、全身麻酔下にて外耳道からの牽引-剥離法によりポリープを摘出しました。術後より耳漏は消失し、再発も認められていません。
手術前
手術前。耳道内を腫瘤が占拠し、鼓膜が確認できません。
手術後6ヵ月
手術後6ヵ月。修復された鼓膜が観察されました。ポリープの再発も認められませんでした。
icon乳犬歯残存による永久犬歯不正咬合
  • 雑種、雌、6ヵ月齢
  • 【症状】乳歯が脱落しない。
  • 【説明】通常、4~6ヵ月齢で永久歯の萌出がおこり、乳歯はそれに伴って自然に脱落します。乳歯の中でも犬歯は晩期残存しやすく、特にトイ種のような小型犬によくみられます。乳歯が永久歯の萌出時期になっても脱落せずに残存していると永久歯の萌出位置や萌出方向の異常が起こり、その結果不正咬合を引き起こします。本症例では、上顎および下顎の左右の乳犬歯が4本とも残存しており、下顎の永久犬歯が内側から萌出してしまったことにより上顎の裏側に接触していました。
  • 【治療】残存乳犬歯を抜歯し、外科的歯牙移動によって永久犬歯の萌出方向を矯正しました。本術式の適応は、永久犬歯の歯根が未完成の時期に限られるため、不正咬合が予測される場合、できるだけ早期に実施することが必要です。
手術前
手術前。上顎および下顎の乳犬歯(矢印黄)が残存しているため、上顎の永久犬歯(矢頭赤)は本来より前方に萌出し、下顎の永久犬歯(矢頭青)は乳犬歯の内側より萌出することにより、上顎の裏側にぶつかっています。
手術一ヵ月後
手術一ヵ月後。上顎の永久犬歯(矢頭赤)と下顎の永久犬歯(矢頭青)の正常な萌出が認められ、咬み合わせも正常となりました。
icon会陰ヘルニア
  • ミニチュア・ダックスフント、雄、12歳齢
  • 【症状】踏ん張っても便が出づらい。排便に時間がかかる。肛門横の膨らみ。
  • 【説明】骨盤内の隔壁となっている筋肉群が薄くなることによって隙間(ヘルニア孔)ができ、直腸が蛇行することにより宿便がおこります。本症例では腹腔内の臓器(膀胱、前立腺)も飛び出して入り込んでいました。
  • 【治療】仙結節靭帯を用いて整復し、結腸固定および精管固定術も併用しました。術後より排便困難は消失し再発も認められていません。
手術前
手術前。顕著な肛門横の膨らみがみられます。
手術後約一ヵ月
手術後約一ヵ月。肛門横の膨らみはなくなり、排便はスムーズになりました。
icon子宮蓄膿症
  • シーズー、雌、8歳齢
  • 【症状】10日前より食欲不振。多飲多尿。
  • 【説明】子宮内膜に嚢胞性増殖が起こり、細菌感染が加わることによって発症します。特に黄体ホルモンが深く関与しているため、発情を何回も経験した高齢犬で発症しやすく発情出血後1~2ヵ月間は注意が必要です。外陰部より膿を排出するケースでは早期に発見しやすいのですが、本症例のように排膿がみられない閉鎖性の場合は、発見が遅れて細菌の内毒素により重症化することもあります。
  • 【治療】特に繁殖に供する予定がなければ、外科療法が確実です。本症例も蓄膿した子宮および卵巣を摘出し、術後2日目より徐々に食欲も回復傾向となりました。
腹部レントゲン写真
腹部レントゲン写真。膨張した子宮がみられます(矢印)。
腹部エコー図
腹部エコー図。内部に液体を貯留した子宮が観察されます(矢印)。

神経

icon椎間板ヘルニア(腰椎)グレードⅣ
  • ミニチュア・ダックスフント、雄、10歳齢
  • 【症状】突然後肢が動かなくなり、腰が立たなくなる。
  • 【説明】軟骨異栄養犬種と呼ばれる特定の犬種(ビーグル、ダックスフント、コーギーなど)では、背骨(腰椎)と背骨の間にある椎間板が経年変化により固く膨留してくるようになり、それが脊髄神経を圧迫すると様々な症状が発現します。動かなくなる、ソファーに昇れなくなる、など比較的わかりづらい症状を示したり、本症例のように突然後肢が麻痺する、など重症化するケースもあります。
  • 【治療】軽症であれば、内科治療で症状を緩和することも可能ですが、後肢麻痺が進行したケースでは、できるだけ早急に外科手術が望まれます。本症例では片側椎弓切除術を実施し、術後約2週間で歩行可能となりました。
手術前
手術前。両後肢が麻痺のため後方へ投げ出されています。
手術後約一ヵ月
手術後二週間。自力歩行が可能になりました。

腫瘍

icon耳道腫瘍(耳垢腺癌)
  • シーズー、雄、12歳齢
  • 【症状】耳の穴から出血がある。触ると痛がり、怒る。
  • 【説明】犬の耳道は直角に曲がるため、耳道の奥に腫瘍ができると外からではわからないことがあります。耳の中に腫瘍ができると、良性悪性にかかわらず出血、膿性の耳漏、頭を振る、痛みなどみられます。外耳炎が頻繁に再発するようなケースでは注意が必要です。
  • 【治療】基本的には切除手術が推奨されますが、耳道内であるため良性か悪性かによって手術方法がケースバイケースとなります。本症例は、耳垢腺癌という悪性腫瘍であったため、全耳道切除術および鼓室胞切開術を実施しました。術後に痛みは消失し、耳を触っても怒らなくなりました。その後、再発や転移は認められていません。
頭部のレントゲン写真
頭部のレントゲン写真。正常な耳道と比べて腫瘍により耳道が狭窄しています(矢頭)。
全耳道切除手術後二ヵ月
全耳道切除手術後二ヵ月。痛みは消失し、傷口もほとんどわからなくなりました。

皮膚

循環器

icon僧帽弁閉鎖不全症
  • キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、雄、11歳齢
  • 【症状】朝方に咳がでる。
  • 【説明】キャバリア・キングチャールズ・スパニエルはこの疾患の好発犬種であり、本症例でも数年前から心雑音の存在が指摘されていました。粘液腫様変性により僧帽弁逆流がおこると、やがて心臓内に血液がうっ滞するようになり心臓が大きくなっていきます。初期症状として発咳が認められるケースでは、心拡大による気管支の圧迫や気管支軟化症との関連が示唆されています。
  • 【治療】内科治療の場合、病態の進行状況に合わせて、薬の組み合わせを変更したり食餌療法を行いますが、終生の治療が必要となります。本症例は、ACEI剤、カルシウムチャンネル拮抗剤の内服により発咳はほとんど消失しました。
心拡大とともに顕著な左房の拡大が認められました(矢頭)
心拡大とともに顕著な左房の拡大が認められました(矢頭)。
心エコー図
心エコー図。僧帽弁の一つである前尖の逸脱により左房内に明らかな血液の逆流が認められました(モザイク部分)。

泌尿器

icon膀胱結石(ストラバイト)
  • キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、雄、12歳齢
  • 【症状】頻繁に排尿する。尿が赤い。
  • 【説明】犬の尿路結石の中で最も遭遇することが多い結石であり、尿中に排泄されるリンやマグネシウムのような過剰なミネラルが結晶化し、結石を形成します。犬の場合、結石形成に細菌感染が関与しているのも特徴の一つです。血尿や頻尿などの症状が典型的ですが、間歇的であったり無症状のこともあります。また、副腎機能亢進症や糖尿病などの基礎疾患が結石形成を誘発することもあります。
  • 【治療】食餌療法や抗生物質の投与により、内科的に結石を溶解することが可能ですが、ストラバイトであることが不確実であったり、症状により急を要する場合は外科療法を選択します。本症例では膀胱切開により外科的に結石を摘出し、速やかに症状は消失しましたが、引き続き再発予防として、ミネラルを制限し尿PHを調節する食餌療法や、尿路感染のコントロールが必要となります。
膀胱結石(ストラバイト)①レントゲン写真。およそ2~4㎝大、及び多数の細かな膀胱結石が認められました(矢印)。
膀胱結石(ストラバイト)②腹部エコー図。膀胱内に高エコーで描出される結石が認められました(矢印)。
icon膀胱結石(シュウ酸カルシウム)
  • パグ、雄、8歳
  • 【症状】尿がでない。踏ん張っている。
  • 【説明】犬の尿路結石の中で、ストラバイトと並んでよく遭遇する結石です。尿中のシュウ酸とカルシウムが結合して結石を形成しますが、副腎皮質機能亢進症や上皮小体機能亢進症などの基礎疾患や、食生活の内容により誘発されることがあります。細菌感染が結石形成に関与することは少ないですが、結石自体により二次的に尿路感染を引き起こしやすくなります。膀胱内の結石が尿道内で詰まってしまった場合、排尿ができなくなり、放っておくと腎後性の腎不全に陥ってしまうことがあります。
  • 【治療】ストラバイトと違い、内科的に結石を溶解することはできないため、外科的に摘出するか、カテーテルもしくは自然排尿にて排出させるしかありません。本症例はカテーテルにて膀胱内へ結石を戻した後、膀胱切開にて摘出しました。結石摘出後の予防が特に重要であり、基礎疾患の治療や適切な食餌療法を行わないと高い確率で再発してしまいます。
膀胱結石(シュウ酸カルシウム)①レントゲン写真。膀胱内の多数の結石とともに(矢印)、陰茎骨の尿道内に結石が一つ詰まり尿道を閉塞させていました(矢頭)。
膀胱結石(シュウ酸カルシウム)②摘出されたシュウ酸カルシウム結石。

整形

iconレッグ・カルベ・ペルテス病(大腿骨頭壊死)
  • トイ・プードル、雄、9ヵ月齢
  • 【症状】間歇的な両後肢の跛行。
  • 【説明】成長期において大腿骨頭への血行障害により軟骨下骨が壊死して、その結果、関節の変形を引き起こします。若齢のトイ種などの小型犬に多く認められ、遺伝的な背景も指摘されていますが、詳しい病因は不明です。患側股関節の疼痛を引き起こし、慢性経過により臀筋周囲の筋委縮が認められます。
  • 【治療】軽症の場合、保存療法という選択肢もありますが、多くのケースで外科的な治療が推奨されます。本症例は、両側の大腿骨頭切除術を実施するとともに、術後にリハビリを積極的に行ってもらい臨床症状は消失しました。
手術前のレントゲン写真
手術前のレントゲン写真。両側性に股関節腔の拡大、骨頭の変形および骨頚の肥大(矢頭)が認められます。
手術後のレントゲン写真
手術後のレントゲン写真。両側の大腿骨頭を切除することにより、疼痛を緩和して繊維性偽関節を形成させます。

眼科

icon慢性角膜上皮欠損
  • チワワ、雌、11歳齢
  • 【症状】一ヵ月前より右眼がショボショボして良くならない。
  • 【説明】角膜上皮の創傷治癒過程において異常があるため、上皮欠損部において1~2週間経っても治癒がみられません。中年齢以降の犬に発症するため、治癒遅延を引き起こす他の基礎疾患がないかどうか調べることも必要です。上皮が損傷すると疼痛による羞明、血管新生などがみられます。疼痛については慢性経過ととも低減していく可能がありますが、上皮欠損部は修復されているわけではありません。
  • 【治療】点眼薬のみの治療には反応しないため、通常、外科的な処置が必要となります。本症例は、点眼薬とともにデブライドメント(遊離した上皮の除去)で二週間治療しましたが、治癒しなかったためデブライドメントに加え、角膜点状切開、眼瞼縫合を実施しました。一週間後には上皮欠損部は修復し、羞明はみられなくなりました。
手術前の右眼
手術前の右眼。フルオレセイン染色により、上皮欠損部が黄緑色に染色されています(矢印)。
手術後六ヵ月の右眼
手術後六ヵ月の右眼。修復過程で発生した色素沈着もかなり軽減してきています。
  • ワンちゃんの飼主様へ
  • ネコちゃんの飼主様へ
  • 避妊・去勢手術
  • 症例紹介


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